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冬咲カトレア~育て方のコツ

冬咲カトレア~育て方のコツ

 

長い間スーパーワンや花咲く肥料を使ってカトレアをお育てのお客様から、株分けの方法についてご相談をいただきました。

今回はカトレアについて、基本的な育て方や、越冬の仕方、株分けについてお話をしていきましょう。

 

カトレアはとても綺麗で豪華な花が咲き、人気のある洋ランです。

さらに、毎年、1月中旬から2月末頃にかけて東京ドームで開催される世界最大級の「世界蘭展」などの洋ランの展示会では、栽培家の話を直接聴くことができるため、展示会をきっかけにカトレアをご購入される方も多くいらっしゃいます。

 

展示会で購入した冬咲きのカトレアは、10月の終わりから11月上旬になると、鉢から根が外に出始めます。

そして徐々に蕾が付き始めるのですが、この間の管理を間違えて、せっかくついた蕾を落としてしまう方が見受けられます。

蕾を落とさないようにするためにも、まずはカトレアの性質に合わせた育て方を知ることからはじめましょう。

 

カトレアには春咲き(3~4月)初夏咲き(5~7月)秋咲き(9~11月)冬咲き(12~2月)不定期咲きがあり、生育のタイミングがそれぞれ微妙に異なります。

冬の展示会で開花したカトレアを購入した場合は、冬咲きのものになります。

実は、冬咲きや春咲きは、次の花を咲かせにくい初心者泣かせの鉢。どうして、花を咲かせにくいのでしょうか?

 

カトレアは、雨季と乾季がある熱帯生まれのランです。

なるべく生まれた環境に近い状態で育てることが大切です。

カトレアは、雨季が生育期、乾季が休眠期になりますが、冬咲きのカトレアは、春から秋にかけてしっかりと生育して休眠期にあたる冬に開花します。

そのため、花芽ができたあとの一番寒い時期に花茎を伸ばさなくてはならず、管理をしっかり行う必要があります。そのため、初心者の方には少々難しいといわれているのです。

 

では、どのように育てたら休眠期でも美しい花を咲かすことができるのでしょうか?

1.カトレアを上手に咲かせる育て方~生育期編

カトレアを上手に咲かせる育て方をご紹介しましょう。

 

展示会で初めて買ったカトレアが、秋になって蕾がついた!と喜んだのもつかの間、落ちてしまったら…

おそらく、生育期の管理から休眠期の管理に移行出来ていなかったのが原因ではないでしょうか。

 

■根が過湿にならない工夫をする

 

熱帯(高原)育ちのカトレアは、日本の四季の変化を、熱帯の雨季・乾季と同じような環境に近づけることが大切です。

 

カトレアの生育期は、熱帯では雨季にあたります。

この時期は毎日、朝や夕方に突然激しい雨が一気に降り始めたと思ったら、30分程度で直ぐに日差しが戻るスコールが続きます。

生育期のスイッチが入ったカトレアは、たっぷりの水と木漏れ日を浴びて新芽を伸ばしていきます。

でも、日本の梅雨の場合は一日中雨が降り注ぐので、日差しが足りない上に、水が入りすぎて酸欠になりがちです

雨が続く場合は、雨のあたりにくい軒下などに移動してあげましょう。

春は、最低気温が15℃以上になったら一日中外に出してもOKです。

ただし、屋外の風通しがよい半日陰の場所に置きましょう。

直射日光を浴びると葉が茶色く変色(葉焼け)するので注意してください。

 

また、生育期は栄養分(肥料)を必要としている時期です。

肥料を与える期間は、新芽が伸びはじめてからシース(花芽を包む袋状のもの)が出るまで。

液肥を4月中旬〜7月、置肥を5月〜7月(8月には取り除きます)に与えます。

ただし、ひと月の必要量をまとめて与えると栄養過多になるので、2週間程度施肥のタイミングをずらしながら与えましょう。

肥料焼けを避けるためには、一度に与える肥料の量を減らすように、間隔をずらしてあげるのがポイント。

水やりは、3月〜5月は気温が上がるにつれ、徐々に回数を増やします。6月〜9月初め(残暑)は毎日朝夕に与えてくださいね。

 

次は、休眠期の育て方をお話しますね。



2.カトレアを上手に咲かせる育て方~休眠期編

カトレアの休眠期の育て方についてご紹介しましょう。

 

カトレアが生まれた熱帯の高地は、標高が高くて夜が涼しい場所なので、夜の温度管理がとても大事。

しかし、この温度管理をしながら育てるには、かなりのテクニックが必要です。

うっかり管理を間違えると根が腐ってしまうことがあります。

 

夜の温度を下げるためには

 

①木陰など風通しの良い場所に移動。鉢は床から上げておく

②肥料は控える

③夕方、日が落ちてから周辺に水を撒く

 

の3つを行います。

 

休眠期を迎えたカトレアは、肥料を必要としませんので、8月から翌年の4月の間は施肥は行いません。

活力材を与える程度にしましょう。

 

気温が下がり、最低気温が15℃を切るようになったら、部屋に取り込み、カーテン越しの日が差すところで管理します。

そうすることで鉢の水分が乾くまでの時間が遅くなります。

ただ、冬の室内は乾燥しがち。

定期的に霧吹でバルブや葉に水をかけて保湿に努めます。

 

休眠期の水やりは、花付きの良しあしを決めるので、丁寧な管理が必要になります。

時期によって管理方法が異なりますので、詳しくは次で、お話しますね。

3.カトレアを上手に咲かせる育て方~休眠期編②

カトレアの休眠期の水やりについてご紹介しましょう。

 

水やりの基本は、気温が下がるにつれ、徐々に水やりの間隔をあけていくことです。

ただし、完全に乾かしてしまうと蕾の生育が止まって枯れてしまうことがあるので、タイミングを見て控えめに与える必要があります。

タイミングは、根の表面の色や触感で判断します。

根がしっかりと白くなっていて、触ってみてすべすべな状態になったら、水やりの合図。

控えめに水やりを行ってください。根が緑色に見えるときは、水分が根に蓄えられている状態なので、水やりは不要。いつも緑色の状態で水を与えてしまうと、花付きが悪くなるので気を付けましょう。

なお、休眠期の管理は、屋外に出したまま雨にあてるのはNGです。

秋の長雨の頃は、家の中や軒下に入れて雨をよけるようにしましょう。

 

〇9月彼岸頃~10月下旬

 

カトレアにとって気温は20℃が適正です。

屋外に出したまま水やりの間隔をあけます。

根が白くなったのを確認したら、水やりを行いましょう。

ここから、葉を作る管理から花芽を付ける管理へ移行します。

 

〇10月下旬以降

 

気温が15℃を切るようになりったら鉢は屋外から室内に移動します。

室内に入れた後は、乾季を意識した管理になります。

室内では日の当たる窓辺に置き、水やりは間隔をあけ、霧吹で少量の水を与えます。

水を与えるタイミングは「今日は晴れて日が当たる」日がベスト。

 

〇シース(つぼみ)が付き始めた頃

 

気が抜けない時期です。水やりは霧吹き程度でOK。

低温に注意して、常時12℃以上を保つ工夫が必要です。

マンションでの管理は難しくありませんが、木造の家屋では発砲スチロール箱を利用し、明け方の温度低下を防ぎましょう。

 

〇つぼみが成長する頃

 

温度12℃以上をキープしながら、日光(光)にあて、水を与えることが必要です。

根が白くなったら霧吹などで水を与えます。



次は、カトレアの株分けと植え替えについてお話しますね。

4.カトレアを上手に咲かせる育て方~株分け編

カトレアの株分けの際に注意したいことをご紹介しましょう。

 

カトレアを何年も育てていると、徐々に株が横に長くなってきますよね。鉢から根がはみ出し始めたら、そろそろ株分けや植え替えを行うタイミングです。

 

株分けをする際には、バルブの数に注目します。

バルブが6本以上になり、混みあってきたら、株分けのサイン。

5月のゴールデンウィークを過ぎ、八重桜が散った頃(最低気温が12℃以上となる頃)が目安です。

 

株分けを行う場合、カトレアのバルブを3本でひと家族として新しい家(鉢)に引越しをするイメージで行ないます。

カトレアの場合は、一番若いバルブ(子)二番目に若いバッグバルブ(親)一番古いバッグバルブ(祖父母)でひとつの家族。

一家族ごとに一つの家(鉢)をもたせることで、栄養のやり取りをしながら、新しい芽(葉・根)が生えはじめてくれるので、生育をスムーズに促せます。

 

株分けをした子供のバルブは、1年目は自分自身の蓄えで成長するしかありません。

さらに、根を張るまで時間がかかるので、大きく育つことができません。

2年目になると、親の根が吸収する栄養と、バックバルブから足りない栄養を分けてもらって、葉と根を作り始めます。

3年目になると、今度は親の根、葉、バルブの栄養+祖父母のバッグバルブから栄養を分けてもらい、しっかりと根を張って自分で栄養を吸収できるバルブへと成長していきます。

しっかりと栄養の受け渡しができるようにするためにも、3世代の家族単位で株分けをすることが大切です。

 

もし、バルブの数が足りない状態で株分けをしてしまった場合は、栄養分が十分にいきわたらない場合があります。

その分新芽が小さく、成長が遅くなります。枯らさないように、注意深く観察することが大切です。

3世代の栄養が積み重ねられると、元の葉の大きさに戻りますよ。

 

カトレアはバルブが増えすぎると、鉢の中に水を抱えてしまいがちです。水を抱えすぎてしまうと、休眠期の管理が難しくなり、花付きが悪くなりますので、定期的に株分けを行いましょう。

 

次は、カトレアの植え替えについてお話しますね。

5.カトレアを上手に咲かせる育て方~植替え編

カトレアの植え替えの際に注意したいことをご紹介しましょう。

 

カトレアは、株分けと併せて植え替えも定期的に行うお手入れの一つです。

 

植え替えが必要な時は下記の通りです。

 

①購入した株が、ビニールポットに植えられている時

②植え替えてから2年以上経過している時

③培養土やバークが傷んでいる時

④根づまりをおこした時(根が鉢からはみ出してきた時)

⑤根傷みや株が傷んで成育の悪い時や、葉先に傷みが出ている時



植え替えを行うタイミングは花が終わった直後。

休眠期の証である、根が白いうちに行うのが鉄則です。

根が緑色になっている場合は、既に成育期に入っています。

このタイミングで植え替えを行ってしまうと、根を傷めたり生育を止める原因になります。

葉先の枯症状など緊急以外は、植え替えは翌年まで延期しましょう。

 

植え替えをすることで、カトレアが好む「水はけが良く、酸素がいきわたる環境」を作ることができます。

立派な花を咲かせるためにも、定期的に行ってあげてください。

 

また、カトレア等の洋ランを購入した際についてくるラベルは、つけたままにしておきましょう。

洋ランのラベルは、品種や交配種が記載されている戸籍簿のようなもの。

洋ランは、花や姿から種類を特定するのは難しいものもあります。

品種を正確に把握するためにラベルは欠かせないものなのです。

 

特に、カトレアは品種によって開花時期もお手入れのタイミングも変わります。

長くカトレアを楽しむためにも、ラベルは失くさないようにしてください。

 

ちなみに、ラベルの裏面には購入日や植え替え日、開花日などを記載しておくと栽培記録にもなります。

将来、洋ランの種類が増えた際の管理にも役立ちますよ。

 

少し長くなりましたが、「洋ランの女王」と呼ばれるカトレアについてお話してきました。しっかりとお手入れをして、美しい花を咲かせてくださいね。

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