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啓翁桜を咲かせるためにはどうしたらいい?

啓翁桜を咲かせるためにはどうしたらいい?

(写真はイメージです)

 

盆栽で啓翁桜をお育てのお客様より「桜の花芽が少なく、新芽が出てしまって花が楽しめない」というお問い合わせを頂きました。

 

詳しくお話を伺うと、すでに、八重桜をお育てで、1年前から啓翁桜の鉢植えを入手されたとのこと。昨年の5月頃、花が終わった後にお手元に届いた際に、少ししおれているように感じたので、活力剤や肥料などを与えてみたら、不自然なほどの勢いで枝が伸びてきたそうです。今年に入って花の時期を迎えてみたら、枝によって花が咲く枝と、新芽だけの枝があったり、かなり偏りが出てしまってお悩みのご様子でした。

 

どうしたら、啓翁桜がまんべんなく花芽をつけて、満開の姿を楽しむことができるのでしょうか。

 

今、お育てになっている啓翁桜は、高さが1.2メートル程の幼い桜。まだまだ若い木で、「生長しよう!」という活力がある状態です。活力がある時を「樹勢が強い」という言い方をしますが、この時期の樹木は、花芽がつきづらく、新芽を出す方に力を注いてしまいがち。まずは根をしっかりはって、栄養を吸い上げ、幹を太くして葉を広げていく時期なので、花を咲かせるまで手間が回らない状態です。立派な樹木になるために、準備をしている段階なんですね。

 

「桃栗三年柿八年」という言葉がありますが、桜は桃の仲間なので、幼木期から生育期がひと段落する約3年間は、大人の木になって花を咲かせる準備期間のようなもの。それまで、根気よくお手入れをしてあげることが大切です。今年花が咲かなくても、健康な木に育っていけば、いずれ花が咲くようになります。

 

今回のご相談者様の啓翁桜は、生育期を経て花が咲き始める時期に入る直前の状態だと推測されます。これから、しっかりと花を咲かせるために欠かせないお手入れ方法をいくつかご紹介しますね。

 

1.適切なタイミングで、適切な肥料を与えよう!

桜は、前年の夏に花芽を形成し、冬には休眠して、翌春に花を咲かせるというというサイクルがあります。桜のサイクルに合わせて、適切なタイミングで肥料をあげることが大切です。

 

5月になり花が終わったら、実がつかないように花をとります。その後、「お礼肥」として肥料を与えましょう。花を咲かせた後の桜はかなり体力を消耗していますので、体力回復のための肥料です。醗酵油かすと粉骨粉を適量(使用量は鉢の大きさにより異なります)与えてあげてください。

 

次に、新芽が出そろってきた6月ごろ、「芽出し肥」として、もう一度醗酵油かすと粉骨粉を同量与えましょう。葉を育てる意味はもちろん、夏バテ対策にもなります。さらに、葉が伸び始めたら、定期的に与えるのがベストです。7-8月に葉が落ちてしまった場合は、水分不足か栄養不足が考えられます。しっかりと水やりをして、液体肥料などで栄養を与えれば、また葉が生えてくれますよ。

 

9月のお彼岸の頃、気温が30度を切るようになったら、桜の根の活動が盛んになります。「秋肥」として、粒骨粉のみを与えるようにしましょう。粒骨粉の中にリン酸分が含まれているので、花芽分化によく効きます。また、粒骨粉には窒素分も少し入っています。この窒素分で十分育ちますので、醗酵油かすを与える必要はありません。

 

11月を過ぎたあたりに、葉が落ち始め、桜は休眠期に入ります。この間は肥料を与える必要はありません。鉢植えの場合は、寒肥も不要です。じっくり休ませてあげましょう。

 

2.水分は少なくても多くてもダメ!

地植えの桜は、一度植えてしまえば、夏場の暑い時期を除き基本的に水やりは必要ありませんが、鉢植えの桜は乾燥を嫌いますので定期的な水やりが必要です。夏場などは、朝水やりをして、夕方乾いているようでしたら再度あげてください。水分不足は、花芽を駄目にしまうこともありますので、気を付けましょう。

 

ただし、台風の時期や、近年多い長雨やゲリラ豪雨などで、多量の雨に当たると常に土が湿りすぎの状態になり、土の中の酸素が失われがち。すると、根が酸欠になりやすく、花芽が付きにくくなる原因になります。長雨や激しい雨にさらされそうなときはビニール袋などで鉢を覆い雨除けをしてあげてくださいね。

 

3.伸びすぎた枝はしっかり剪定を!

桜は、夏の終わりに、花芽分化がはじまります。この時に勢いよく伸びる枝には、樹勢が強く、花芽付き辛くなります。枝が勢い良く伸びすぎてしまう場合は、肥料過多になってしまいがちです。肥料を多くあげすぎていないかを確認しましょう。

 

通常、本格的な剪定は休眠期にあたる11月~12月頃に行いますが、花芽のつかない枝は、枝の更新や他の枝の力を抑えるために残すなどの理由がない場合は、適宜剪定するのがおすすめです。

4.短果枝をしっかりと観察しよう!

桜は2年目の枝から出る短い枝(短果枝)に花芽分化します。下の方に葉が出て、上に伸びきった頃に枝が止まったあと、短い枝が出ます。その先端の方に花が付いてるのが、自然の状態です。その様子を写真等におさめていただき、どのように花芽のつき方をしていくか繰返し残しながら観察しましょう。記録として残しておけば、今後の手入れの際に役に立ちますよ。

 

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今回は、啓翁桜の鉢植えの施肥のタイミングやお手入れについてお届けいたしました。啓翁桜はこの他にも様々な育て方のポイントがあります。桜クラブ(旧 JFC石井農場)の「桜栽培マニュアル」には、啓翁桜をはじめとした桜を育てるノウハウなどが掲載されておりますので、ご参照ください。

 

 

桜は、日本を代表する花木。来春にさわやかな春の香りと美しいお花を楽しめるよう願っております。

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