マルチングしている時の肥料の与え方

お客様より下記のようにお問い合わせいただきました。
鉢植えのバラにウッドチップタイプのマルチングを施しているのですが
御社の有機固形肥料を与える場合は、そのままマルチング材の上に置いても
効果はあるでしょうか?
マルチング材の上に直接置く場合は、通常よりも若干多めの施肥をした方が
良いでしょうか
生育状況にもよりますが、バラはトゲもありますし
毎回マルチング材をどかして土の上に施肥するのも大変な作業になるので
できればマルチング材の上に直接置きたいです。
マルチング材のメーカーに問い合わせたところ、
下記の回答がありました。東商さんも同じ意見でしょうか?
「マルチングをどかして直接、肥料を土の上に与える方が、早く効果が出ますが
マルチングの上に置いても肥料成分は同じ量が土の中に染み込むので
最終的には同じ効果になります。
ですから肥料の量を調整する必要はありません。」
色々な考え方ができますが、東商の肥料を使う場合について考えていきましょう♪
1.マルチングのある鉢へ肥料を置く位置について

東商の肥料の場合、マルチングの上に肥料を置く方法はあまりお勧めしません。
その理由として醗酵有機質肥料の効き方を下記のようにまとめてみました。
【醗酵有機質肥料の効かせ方・しくみ】
東商有機質肥料分解には、吸水後、糸状菌(カビ)やバクテリアなど微生物による分解の力が必要です。
このためウッドチップバークは、表面が乾燥しているため
雨水で肥料が湿った時だけ分解が進む形となり
最初の2~3週の効き方が弱くなることが予想されます。
肥料のカビが見え始めたころ、分解が進み
『ぐっと効いてきた感』があります。
肥料が乾燥してくると分解が止まってしまい
次の雨や散水によって湿ることで成分が溶出、効き始めます。
『しっかりと肥料を効かせたい』
そのためには、ウッドチップバークの下に置くことが
効果的な肥料の与え方になります。
しかしながら、それが難しい場合
ウッドチップバークを敷いた表面に窪地を作り
そこへ施肥した場合、窪地のところでは
下の地面からの湿気で分解が進むことが想像されます。
ウッドチップバークの下に置いた時よりも効き方が穏やかになる方向です。
そのため、お問い合わせの場合のように
どうしてもバークを取り除くことが難しい場合は
ウッドチップバークの何か所かに窪地を作り
そこへ肥料を置く施肥方法をお勧めします。
2.地植えの場合の肥料の与え方~ツボ肥・溝肥

肥料の与え方の説明では、
『肥料を与える位置は、幹から離して、枝先の下の土の部分に与える』
と、いう図をよく見かけると思います。
与える位置は、株の周りで幹から離れたところに輪状に『ツボ肥』や
『溝肥』のかたちで与えることをおすすめします。
『土表面への施肥』は、根が表面に張り
さらに、マルチングによって、乾燥から細根が保護されるので
成育が良くなります。
反面、近年の真夏の高温・乾燥期間に、新しく伸びた根を傷めてしまうというケースがあります。
特に永年の花木、樹木、果樹で秋口に
『枝先が枯れてきたのだけれど・・・』
と、いう相談をいただくことがあります。
対策として、
施肥位置:先ほどの説明『枝先の下』輪状の位置:4か所へのツボ肥を施すことによって
『ツボ肥』周辺に細根が集まるようにすることができます。
地表に比べ温度、湿度が保たれ、真夏の高温・渇水時のダメージが小さくなります。
(2回目は1回目の施肥場所を避け、その間へツボ肥を行います。)
醗酵有機質肥料の『ツボ肥』は、肥料成分だけの溶出ではなく
微生物のえさ、土壌小動物のえさを増殖するので
彼らが土の中を動き回り、土の団粒化に一役買ってくれます。
醗酵有機質肥料には、
『植物のために栄養を与える効果』
と
『土の生物に栄養を与える効果(目的)』
があります。
土の中に微生物のすみかをつくるたい肥や腐葉土も併せて与えましょう。
3.施肥量の調整について
